3年生の国語で「三年とうげ」という教材があります。「民話を紹介しよう」という学習活動につなぐ入口として、「この物語のおもしろさを見つけながら読む」授業展開が繰り広げていました。
<あら筋>登場人物には”おじいさん”、知恵を授けた水車屋の”トルトリ”が描かれます。
おじいさんは、
「三年とうげで転ぶと三年しか生きられない」
という言い伝えのある坂で転んでしまい、それを気にして病気になってしまいます。
見舞いにきたトルトリが、
「一度転べは三年生きる、2度転べは6年…、何度も転べは、長生きできるはず」
と勇気づけ、おじいさんは、「うん、なるほど」と、とらえかたを変え、ふとんから跳ね起き、三年とうげでわざと転びまくって、幸せに長生きしたという話です。
子供たちは、ノートに面白いと思ったことを書きだして、互いに意見を交流していました。
多くの子は、「三年しか生きられない→三年は生きる」と考え方が変わったことを話題にしていました。
【コラム】峠の向こうに見える景色
大人目線でみた面白さと言えば、
”おじいさん”という言葉は何度も出てくるのに、”トルトリ”は1度しか出てきません。
「一期一会」といいましょうか、
~「たった一度の出会い」から人生が変わるときがある~
と、教訓めいた解釈をしてしまいます。(子どもは首をかしげるかもしれません…)
また、「三年とうげ」の作者は李錦玉となっていますが、この民話の原点はどこか?という点に興味が湧き、調べてみました。
どうやら、この民話のネタは、京都の清水寺に登る「三年坂」にまつわる逸話と関係性があるようです。
清水寺の付近には坂を上る途中にお墓がありますが、”あの世との境となる場所”として観光名所案内で紹介されています。
逸話のメッセージは「坂の登り下りは気を付けて」という意味合いにも受け取れます。
読み物教材を扱うねらいは「読解」ではなく、多くの本に触れ、本の紹介をする活動などを通して、物の見方を広げるところにあると考えます。
様々な民話をもとに対話していく中で、社会的背景や様々な国の風習などの違いなど、広いものの見方につながっていくようにも感じました。
大人は経験から判断することが多く、凝り固まった物の見方をしがちですが、
峠を登った先に広がる景色にハッとするように、
”トルトリ”のように機転を利かせた声かけや考え方をするヒントが、絵本の中にあるように思います。
子どもとともに「面白い」絵本を探してみてはいかがでしょうか。
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